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水崎涼

 芸術と学術とが反目する様は、しばしば見受けられるような気がします。ところが美学たる学問が存在するように、いまや芸術は学無しでは踏み入ることのできぬ道となりました。制作にしろ鑑賞にしろ、過去の芸術家たちの足跡を辿ったあとで、我々はようやくその資格を得るのです。
 
 しかし、無垢なる美的感覚が存在するもまた事実と言えるでしょう。
 貧しい生活のなか満ち足りた教育を受けることがでなかったモーリス・プレンダーガスト、彼が紙上にて魅せた独特の生彩は、学問や理屈の外にあるまるで新しい美を、当時の人々のこころに刻みつけたのですから。
 
 芸術家に、あなたは何を求めるでしょう。
 劇的な生涯? 崇高な理念? それとも、なんの変哲もない穏やかな日常? あるいは、身を切るほどの卑しくも苛烈な欲望?
 賢者として現実を見るも、愚者として幻想を追うも、すべては自由であると。
 そう、信じたいものです。

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