この作品が気に入ったら「応援!」

応援ありがとう!

4,013

渡矢シキ

本編に関係ないアレ
 
写真の中のキュートな黒猫に向って溜息をついた。デリの主人に写真を見せ、路地や車の下を窺っては肩を落とす。
迷子探しの期日は今日の夕方。過ぎれば報酬は入らず、おれはまた硬いパンを齧って、野菜屑のスープを啜る事になる。
「どこにいるんだ、メアリー」
どういうわけか、昔から動物に好かれない。おれを嫌わなかったのは、子供の頃に出会ったノラ犬だけだ。親の転勤で離れ離れになってしまったが、右耳の垂れたあの犬が今も忘れられない。
「ミスター」
声をかけてきたのは黒いロングコートに、同色のハットを被る男だった。ここらでは見かけない。
「タマキ・サノ?」
「なんでおれの名前……」
男がコートを脱ぎ、ハットを取る。コートの下から長い尾が、頭には獣耳。左耳はツンと立ってて、右耳はへにゃんと垂れている。
「昔世話になったノラ犬です」
そう言って、かつての友は頭を下げた。
 
(続かない)

この作品が気に入ったら読者になろう!

関連お知らせ