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渡矢シキ

(続き)
 
片耳が垂れた愛犬は、前傾姿勢で唸り声を上げていた。剥き出しの牙がギリギリと鳴る。
「クソ! 馬鹿にしやがって!」
そんなことないんだけど、と肩を竦めた。ヒュゥ、と口笛で犬を呼ぶ。
「もういいぞ、ノラ」
許可を与えると、犬はむくむくと姿を変えていった。獣の体は均等のとれた人の体躯へと変貌を遂げる。
「な、な……!」
男の目の前で、愛犬は人になった。
「だから言っただろう。『鼻が利く』って」
長い尾と頭頂部に残った耳の動きが、それが本物であると知らしめる。愛犬がフン、と自慢の鼻を鳴らす。
「ノラ、殺すなよ」
ノラは頷き、男の顎を正確に殴り上げた。頭蓋の中で脳が揺れ、男はゴミ袋に埋もれるように昏倒する。
「良かったな。ノラが首輪付きの利口な犬で」
 
(続かない♡)
次回は監察医もどきの小話です。♡やコメいつもありがとうございます。その気持ちを込めて書いたのでよろしくお願いします。

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