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渡矢シキ

前回の続き
 
その時、検視室に高そうなスーツを着た奴が入って来た。ノラが壁から背を離す。
「警察庁の者です。検視の必要がないものが紛れ込んでいたようなので、引き取りに来ました」
「責任者の佐野です。検視の必要がないというのはどういう事ですか。正当な理由もなく、お渡しできません」
「こちらに運ばれる少し前に、身元の特定ができたのです。博士の手を煩わせるまでもないと上が判断しました。既にご遺族も引き取りに来てます」
「そうでしたか。すぐ移送の準備を」
管轄外の警察庁がわざわざ出てくるなんて妙だ。しかも検視記録は捏造の疑いがある。声を上げようとしたら、ノラが首を横に振った。
「この遺骨の彼はどちらの出身だったんですか? もしかして関東?」
「ええ」
「ご両親も?」
「そうです」
タマちゃんは恭しく頭蓋骨を持ち、頭頂部をそっと撫でてきっぱり言う。
「身元が特定できたというのは嘘ですね」
 
→続

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