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渡矢シキ

(side ミケ)
 
兄貴と過ごした日々を、過去にしたくなかった。
心は痛いまま、傷は膿んだまま、いつまでも兄貴を想って泣いていたかった。
「情なんかで、救われてたまるかって思うのに!損とか得とか考えらんない、そういうバカみたいなとこが!タマちゃんの……そういう、とこが」
なのに、タマちゃんの声が、言葉が、胸に残って消えない。
わからないふりを続けるには、抱えた存在が、あまりにも大きすぎた。
椎名透也の心臓を殺すことと、タマちゃんを助けることは両立できない。
どちらをとっても、やはり後悔と悲しみが残るだろう。
オレは、選ぶ。選ばなくては、いけない。
兄貴と過ごした日々を、過去にすることはできない。
心はまだ痛いまま、でも今、繰り返し抉った傷に、ようやく手当てがされようとしている。

「大好きなんだ」
 
答えはとっくに出ていた。
 
「生きててよかった。生きててくれて、ありがとう」
 

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