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夏目晶

 高梨と入れ違うようにして女子学生がテーブルの横に立った。
 すかさず、座っていた方の女子学生が口を開く。
「おはよ。尚子。それにしても、よくやると思わない?」
「はよ。ああ、高梨君だっけ?」
 突然話しかけられた方の女学生は、ラウンジを出て行く背中を見てからそう返す。
「そ。いくら友達っていってもさ、知り合ったばっかりの男が具合悪そうって位でそんなに心配する?」
「あー、それね……私、ちょっと聞いた事があるんだけど」
 尚子はスチール製の椅子を引いて腰をおろした。秘密を明かすように友人に顔を近づける。
「高梨ってさ、去年入学して一日も来なかったらしいんだ」
「留年ってこと?」
「うん」
「留年が、何か関係するの?」
 尚子は小さく頷いた。
「理由がさ、弟さんがね不眠みたいになって亡くなったから、らしくて」
 二人はラウンジの入り口を見たが、既に高梨の背中はそこに無かった。

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